「金原ひとみ」の検索結果

2022年単行本ベスト10

●やがて忘れる過程の途中<アイオワ日記>(滝口悠生)NUMABOOKS

●くるまの娘(宇佐見りん)河出書房新社

●パパイヤ・ママイヤ(乗代雄介)小学館

●フィールダー(古谷田奈月)集英社

●明日のフリル(松澤くれは)光文社

●夏鳥たちのとまり木(奥田亜紀子)双葉社

●白鶴亮翅(多和田葉子)朝日新聞連載

●深読み日本文学(島田雅彦)集英社インターナショナル

●文藝2022年秋季号(金原ひとみ責任編集「私小説」)河出書房新社

●今日はどのかわいさでいく?メイク大全(長井かおり)日経BP

2022-12-30

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2021年単行本ベスト10

●アンソーシャルディスタンス(金原ひとみ)新潮社
 
●テスカトリポカ(佐藤究)角川書店
 
●オーバーヒート(千葉雅也)新潮社
 
●神よ憐れみたまえ(小池真理子)新潮社
 
●本心(平野啓一郎)文藝春秋
 
●六人の嘘つきな大学生(浅倉秋成)KADOKAWA
 
●心淋し川(西條奈加)集英社
 
●緊急事態下の物語(金原ひとみ / 瀬戸夏子 他)河出書房新社
 
●パンデミック日記(新潮編集部)新潮社
 
●往復書簡 限界から始まる(上野千鶴子 / 鈴木涼美)幻冬舎

2021-12-30

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『ロックス』サラ・ガヴロン(監督)

10代のバリエーションは、いつ奪われてしまうんだろう?

2021年英国アカデミー賞で「キャスティング賞」を受賞しただけあって、中心となる10代の女の子たちの生命力が、あまりにもすばらしい。

食欲旺盛で力があり余っているローティーンの女の子たちが最強だということは、コロナ禍の日本を舞台にした金原ひとみの連作小説『腹を空かせた勇者ども』『狩りをやめない賢者ども』を読めばわかるのだけど、この映画の舞台は、コロナ前のイースト・ロンドンだ。

新しい才能に贈られる「ライジング・スター賞」を受賞したブッキー・バークレイが演じたのは、ジャマイカとナイジェリアの血を引く15歳のロックスという女の子。

やさしそうだが心が弱くて何か問題を抱えているように見える母親と、恐竜と虫が大好きな幼い弟との平和な3人暮らしは一瞬しか描かれず、母親はわずかなお金を置いて家を出て行ってしまう。いつ戻ってくるのか、本当に戻ってくるのか、まったくわからないし、頼れる親戚もいない。ロックスは、弟を守りながら生きていくことができるのか?

かなりハードな状況を描いているし、しんみりするシーンもあるのだけど、この映画を貫くのは、10代の女の子たちの底抜けに明るいパワーであり、凄まじいケンカっぷりやコワレっぷりであり、その先の友情である。何よりも、説教くささを1ミリも感じさせずに、国籍や宗教や肌の色や体形が異なる女の子たちが、自然にわちゃわちゃ集まっているのがいい。これは間違いなくキャスティングのセンスなんだろうけど、このバリエーションの豊かさは、自分自身の子供時代を思わせるものだ。いや、誰にとってもそうなんじゃないだろうかと思えるくらい、この映画には、人間という生き物のベーシックな生態が描かれているのである。

問題山積みだったし、あまりに無謀だった子供時代。危険な子もいたし、実際に危険もあった子供時代。ロックスのような子もいたが、私は彼女を助けただろうか。私は、誰かに助けられただろうか。そもそも、誰かに助けを求めたり、求められたりしただろうか。映画のなかの彼女たちのように、そのときにできる、いちばんいい選択ができていたのだろうか。

思い出したくないような鈍い痛みと、まぶたの裏にまだうっすら残っているような気がする冗談みたいな光が、初めてロンドンを脱出した彼女たちのラストシーンと重なって、たまらない気持ちになる。ロックスの弟のエマニュエルが幸せでありますように。そして、彼女たちが本当の強さと幸せにつながる道を歩けますようにと、祈らずにいられない。

2021-8-25

amazon(サラ・ガヴロン監督の前作)

2020年単行本ベスト10

●推し、燃ゆ(宇佐見りん)河出書房新社
 
●破局(遠野遥)河出書房新社
 
●来世の記憶(藤野可織)KADOKAWA
 
●星に仄めかされて(多和田葉子)講談社
 
●オルタネート(加藤シゲアキ)新潮社
 
●丸の内魔法少女ミラクリーナ(村田沙耶香)KADOKAWA
 
●パリの砂漠、東京の蜃気楼(金原ひとみ)集英社
 
●木になった亜沙(今村夏子)文藝春秋
 
●雲を紡ぐ(伊吹有喜)文藝春秋
 
●デッドライン(千葉雅也)新潮社

2020-12-31

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2019年単行本ベスト10

●キュー(上田岳弘)新潮社

●アタラクシア(金原ひとみ)集英社

●彼女たちの場合は(江國香織)集英社

●むらさきのスカートの女(今村夏子)朝日新聞出版

●私の家(青山七恵)集英社

●如何様(高山羽根子)朝日新聞出版

●ヴィオラ母さん(ヤマザキマリ)文藝春秋

●日本の戦後を知るための12人 (池上彰)文藝春秋

●僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー(ブレイディみかこ)新潮社

●執念深い貧乏性(栗原康)文藝春秋

2019-12-30

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